夏タイヤは冬にたくさん減る!?

クルマを買うと標準で付いてくるタイヤが夏タイヤ。そして、雪道用としておもに雪国で冬になると履くのがスタッドレスタイヤで、これを一般的に冬タイヤと呼んでいる。スタッドレスタイヤなら雪道でもアイスバーンでも無理しなければ走ることができる。

たまにしか雪が降らない非降雪地帯に住んでいるドライバーは、雪が降ったら冬タイヤに替えようと考えるのが一般的だろう。しかし近年ヨーロッパでは考え方が変わってきた。雪が降るか降らないかではなく、気温が7℃以下になったら冬タイヤを履くというものだ。

ドライ路面では、夏タイヤより冬タイヤの方がグリップが弱いということは知られていると思う。ところが、気温が下がってくると、ドライ路面でも夏タイヤよりも冬タイヤのほうがしっかりグリップするようになるのである。このことは、ほとんど知られていない。この、夏タイヤと冬タイヤの優位性が逆転する気温が7℃。夏タイヤは冷えて温度が下がるとゴムが硬くなりグリップが弱くなってしまうためだ。冬タイヤは冷えてもしなやかさを保つゴムを使っているので、冷たいドライ路面でもグリップが落ちてこないのである。

100km/hから急ブレーキをかけたときの制動力を比較すると、気温が7℃以下になると冬タイヤに比べて夏タイヤの制動距離が延びてしまうというデータもある。

また雪もないのに冬タイヤを履いたらタイヤが減るからもったいないと思っている人も多くいる。実は夏タイヤは寒い冬にこそ摩耗がより進む、という事実があるのだ。雪がないからといって冬季に夏タイヤで走っているとタイヤが減りやすいから逆に損をしていることになる。

以上のことから、夏タイヤから冬タイヤに履き替える目安は、雪が降ったらではなく、気温が7℃を下回るようになったらと考えると分かりやすいだろう。